キャサリン・ヒューム女史のベストセラー小説をもとに、「オクラホマ!」「地上より永遠に」のフレッド・ジンネマン監督が作った1人の修道尼の物語。脚色はロバート・アンダーソンがあたり、撮影したのは「ローマの休日」のフランツ・プラナー。音楽はフランツ・ワックスマンが担当している。出演するのは「緑の館」のオードリー・ヘップバーン、「ダイヤモンド作戦」のピーター・フィンチ、「レイテ沖海空戦
永遠の海原」のディーン・ジャガー、「ベビイドール」のミルドレッド・ダンノック、ディムの称号をもつ英国女優エディス・エバンスとディム・ペギー・アシュクロフト、パトリシア・コリンジ、ルース・ホワイト、パトリシア・ボスワースら。製作ヘンリー・ブランク。
尼僧物語評論(3)
尼さんといえば、厳格で禁欲的で慎ましい生活をしているという印象で、とかく堅苦しい。そのような主題の映画だということで、これはもしかすると観ていてかなり暇をもてあそぶのではないかと危惧したが、とりあえずオードリー出演作ということで観てみた。しかし実際はそんな心配も無用だった。
確かに修道院での生活は厳しい。私語すら許されず、常に修行と自己反省の日々で研鑽を積むだけの日々を、記録映像に近い演出で描いていく。だがそれは退屈なものではなく、コンゴで人道的支援のために尽くすという強い意志をもって修道院に入りながらも、厳しい生活に戸惑い、それでも目的のために敬虔でありながら質素な毎日に耐え忍ぶ姿は興味深かった。彼女の生き方はマザー・テレサを思い起こさせる。仏教の修行ならばまだ多少の知識はあるものの、俗世に住んでいるとこのような生活にどうしても疎いので、修道院を描いた前半は新鮮な経験だった。
修道院を出てからの病棟勤務とコンゴでの支援活動と、実務に移っても彼女の献身は続く。だがコンゴの様子はあっさりと表面的なことを取り上げていただけなので、ここは激務の様子や環境のことをもっと生々しく現実的に映してもいいのではないかと思う。病気で苦しむ人々のことも休むことなく続く支援のことも、直接的な表現が無くて説明的な科白だけで済まされてしまっている。これではそこで生活をしながら毎日の支援活動をしているというよりも、数日間の視察に来ましたくらいの捉え方のようだった。
そして自分のしたい人道支援と敬虔さの狭間に揺れる彼女の決断が、このような道を選んだ一人の女性の生き方を、真摯に映し出していた。主人公の崇高な目的と生き様を観て、今後さらに彼女の歩む厳しい道を想像し、またそれが悲惨な結末になるかもしれないと思いながらも、何となく彼女の下した決断に納得させられる。
ブレッド・ジンネマンらしい重厚な演出。それに応えたオードリーの熱演。演技的にはオードリー作品中一番かも。最後、尼僧の衣装を脱いでレジスタンスに加わる道を選んだヒロインに大いに共感したのかも知れない。
1959年製作でカラー映画と言うのは、素晴らしい
当時の、コンゴ民主共和国の映像が、カラーで観れたので良かった
→ 村落・住民・ジャングル等
45分迄は、私語禁止・外出禁止等の厳しい戒律の中で、尼僧になるための研修
46~66分=ベルギー国内で、尼僧だが看護婦としての初期インターン
67~120分=コンゴで、尼僧、兼、看護婦として素晴らしい活躍
121~135分=ベルギーに帰国し、尼僧として生活
136~150分=父が殺されたため、ドイツを恨み、尼僧を辞める話
正直、135分迄は、ルーク(オードリー・ヘップバーン)の禁欲的な生活、
仲間の尼僧が殺されても、人を恨まない言動は、マザーテレサを感じた
とても、感激しながら観ていた
→ マザーテレサ(1910.8~1997.9:87才)修道女
1948年:院外活動開始、 1979年:ノーベル平和賞、他
それが、135分、「父がドイツ兵に殺された」と知り、
自分の心を騙し続けることは出来ないとして、尼僧を辞めた
→ 世俗臭・イデオロギーが感じられて、少しがっかり
それ以外は、心が洗われる、とても良い映画だった