認知症の祖父と2人で暮らす美大生の1年間を描いた短編作品。CMディレクターとして活躍する大森歩監督が自身の経験をもとに、祖父を介護する美大生の心情を繊細かつリアルに描き、京都国際映画祭2018クリエイターズ・ファクトリー最優秀賞など数々の賞を受賞した。祖父の家に居候しながら美大に通うアミは、満州に行ったことをいつも自慢気に話す祖父にうんざりしていた。アニメオタクの同級生・橋本が我が道を行く一方で、アミは自分の描きたいものを描けない課題に苦戦し、自信を失っていく。家では認知症の進む祖父にイライラを募らせるアミだったが、初めて聞く祖父の話に心を動かされ……。主演は「十二人の死にたい子どもたち」の古川琴音。
春評論(3)
どういう状況でおじいちゃんと2人暮らしなのか語られてないけど、関係は悪くないからおじいちゃん子な事は間違いない。
美しい印影の絵が男と女、グロテスクになっていく肉体と退行し無垢になっていく老人と若い女子のコントラストを際立たせる。多少の衝突はありつつも優しくつつみこむ感じは、理想も含め監督の実体験に基づく脚本なだけあって上手いことまとまっている。
爺ちゃんと予備校生、それぞれの戦争体験が時代を超えて2人の存在を際立たせる。
短編だがかなり充実感あり。
最近、佇まいだけで断然魅力的な女優が数人いて、その筆頭が古川琴音。予告での彼女は、意志の強そうな視線、汗のまとわりつく肌、じりじりした雰囲気、なにかを惹きつける空気で満たされていた。
正直、言ってみれば出オチ感はある。おそらく、ぼけ老人の介護に疲弊した孫が、思い詰まって・・・と想像したストーリーとは、てんでかけ離れたものだったからだ。身構えた分、物足りなさはあった。それでも映像はよかったし、古川琴音の表情は、目を離すことができない魅力があった。
タイトルは春だけど、「春」「夏」「秋」「冬」と1年の移り変わりをみせていく。
監督の実体験に基づく話らしいけど、爺ちゃんは90代半ばぐらいの設定ですかね。
頑固なのかと思ったらちょっとお茶目な爺ちゃんと思っていたら、倒れて異変が現れて…。
面倒をみる為に住んだのか、住まわせて貰っていたらその状況になったのか。
恐らく後者なんだろうけれど、いざそうなった時は戸惑うよね。
そこに関しては多くを語るつくりではないけれど、若くして覚悟をしたのか悟ったのか、若しくはその時が来ることを予見していたのか、良い表情だった。